三度の飯より魚介好き

旬と日本人の食文化を考える

国民的アイドル礒のサザエの棘のヒミツ

礒の風味。旨さの詰まったワタと、コリコリした身。堪りませんね。

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サザエはサザエ科の巻貝で、暖かい海域を好み、日本では太平洋側では外房辺りまで、日本海側では秋田県辺りまで広く分布しています。

水深30m位までの岩礁に生息し、殻高、殻径ともに10cm以上に成長します。夜行性で夜になると岩礁を動き回り、ワカメ、テングサ、トサカノリなどの海藻を歯舌で削り取って食べます。

素潜りによる潜水漁やサザエ建網漁、刺し網漁、磯見による竿突き漁などで漁獲されます。稚貝の放流も行われていますが、牡蠣のようないわゆる「養殖」は行われていません。

 

棘のヒミツ

有棘型(殻に棘があるもの)と無棘型(無いもの)があり、かつては「波の荒い外海に棲む個体は流されるのを防ぐために棘を形成し、内海ではその必要がないため棘が無い」と言われていました。棘の発達した外海の個体を水流のない水槽に移すとその後多くは棘を形成しなくなり、逆に棘のない個体を外海に放つと棘を形成した、という飼育実験の結果も、その説を後押ししました。

しかし実際には、波の荒い地域で無棘型が確認されたりその逆も存在することから、近年は、環境要因と遺伝的要因の両方が棘の形成に関与する、と考えられるようになってきました。

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産地

年間6千t漁獲されており、上位5県(長崎県、山口県、三重県、島根県、石川県)で全体の53%を占めています。

【出典:農林水産省「漁業・養殖業生産統計」2016年12月27日発表

 

サザエは通年で水揚げされますが、一般的には初夏から夏の産卵期前、つまり、春から初夏にかけてが最も身が充実して美味しい旬といっていいでしょう。

ただ、6月に漁が解禁される産地もありますし、また夏になると、浜焼きやバーベキューなどの需要増に合わせ流通量が多くなる傾向もあります。

 

栄養価と効用

脂質が少なく、ヘルシーで良質な動物性蛋白質を多く含みます。その他、ビタミン、ミネラル、様々なアミノ酸などもバランスよく豊富に含みます。

特筆すべきは、貝類特有の旨み成分である「コハク酸」で、単位重さ当たりのコハク酸の含有量は、アワビの2倍ほどにもなります。

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新鮮なサザエを選ぼう

刺身には、大きい個体がいいでしょう。小さい個体は、壺焼きなどに向きます。

 

蓋がピタッと閉まっているもの

新鮮さの基準は、蓋の閉まり具合です。新鮮な水揚げ直後のサザエは蓋をキッチリ閉めていますし、開いていても手をかざすだけでサッと閉じます。そういう元気な個体を選びましょう。触っても蓋を閉めず動かない個体は、鮮度の点で避けた方が無難です。

 

棘の有無

有棘型も無棘型も味に違いはありません。ただ、見た目が良いからか、有棘型の価格が高い傾向にはあります。

 

雌雄

雌雄は外見では見分けられません。

身の先の渦巻きの色が、濃い緑が雌で、クリーム色が雄です。開けてからのお楽しみです。因みに、アワビも緑が雌で白が雄です。

味は、雌の方が苦みがあり、個人的には好みです。

 

主な料理

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壺焼き

最も一般的な食べ方です。火を通すことで旨みを引き出し、調味液で一緒に煮込んでしまうので味付けまで失敗なくできます。

網の上に(なければフライパンでもできます)サザエを置き、蓋の上から調味液を注ぎます。調味液は、サザエ自体が塩分をどれだけ含んでいるかにもよりますが、醤油:酒=1:1ないし1:2ぐらいが旨いです。ぐつぐつと煮えるまで焼き、液がなくなる前に火から下します(カラカラになるまで煮詰めると、塩辛くなり、また身が殻の内部にくっついてしまいます)。

 

その他

佃煮や醤油煮などの煮物もいいですし、炊き込みご飯の具としても大変優秀でいらっしゃいます。また洋風に、オリーブオイルでアヒージョ、バター炒めもいけます。エスカルゴのように殻に詰めてオーブンで焼き上げても美味です。

島根県隠岐では、「サザエカレー」なるものがご当地グルメとして知られています。

 

刺身

新鮮で大ぶりの個体は、是非刺身で食べてみましょう。磯の風味と旨さがダイレクトに感じられます。

先ず身を取り出そう!

貝剥きかデザートナイフなどを蓋と殻の隙間、貝全体の渦の中心側に差し込みます。反時計回りに殻の縁をなぞるように刃先を進めると、キレイに取り出せます!

もし途中で切れてしまっても、大丈夫。入り口の底面に指を入れ、殻に付いた身を指で剥がします。そうすれば簡単に身を取り出せます。

食べられる部分と捨てる部分を分ける

殻と蓋以外は丸ごと食べられなくはないですが、内臓は、固い部分や砂を含んでいることが多いので捨てます。身のちょっと複雑な形をしている辺りを指で探ると、ピンク色の固い部分(一般には「口」と呼ばれている部分)があるので、それを取り除きます。ワタの方にも白い身が残っています。これも外します。同じような色のひらひらの薄いパーツがありますが、それはハカマと呼ばれるもので、それも外します。

ひと手間を惜しまず

身の部分と、ワタから外した白い部分は一緒にして、塩をたっぷりと使ってもみ洗いし、ぬめりを綺麗に取ります。刺身をスライスする前にサザエの身を叩くと身が締まってコリコリ感が増します。それを薄くそぎ切りにして刺身にします。

ワタの部分は先の渦巻きの部分をさっと茹でて添えます。

 

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生きたまま手に入れることが、決して難しくないサザエ。是非、刺身に挑戦してみてください!
(私もやってみました。雄でしたよ!)